Aki_Yocchiの日記

単純に書き残しときたくなったのさ

6角派?12角派?

先日、必要に迫られて、SK11のディープソケットセットをAmazonでポチりました。

9.5 sq.(3/8")駆動のディープソケット、クイックホルダー+レール付き。送料込みで2,000円ちょっと、Snap-onの1/10の値段で十分な品質。いい時代になったもんだ。

でも写真を見ると...ん、6角だった。やべえ見落とした...。ONZ

 

とつぜんですが、皆さんはソケットレンチは6角派ですか?12角派ですか?

整備関係やDYI系のYouTubeやブログなんかを見ると6角が多数派のようですが、私は断然12角推しです。

理由としては一択、ボルトへのアクセス性が良い!

ボルトが見えやすい位置にあり、かつラチェットハンドルとかなら問題ないですが、ブレーカーバーとかスライドハンドルとかにセットして使う場合は、狙った角度(に近い角度)でボルトにセットできますよね。

見えなくて狭い位置ならなおさら「うーんどうやっても入らん」が圧倒的に少ないかと思います。

私はこの理由だけで12角を選んでます。

6角派の大多数の人は「12角のソケットは割れやすい」とか「ボルトの頭をなめやすい」って仰いますが、

 

えぇ~ホントにそ~お?

 

で、わたくしの考察をひとつ。

 

考察1「12角はソケットは割れやすい」

えーと、批判を承知で伺いますが「悪い道具」使ってないですか?

昔から機械ものが好きで小学生から近所の時計屋に入り浸って、壊れた時計を観察したり、分解したりするのが好きでした。小学生なので当然工具なんぞもっておらず、時計職人さんのお古の工具(さすがに現役は貸してくれない)を借りてたのですが、今思うと工具でトラブった記憶がありません。

その職人さんに言われて覚えているのが「いい修理にはいい道具を使わなきゃいかん」ってな感じの言葉です。

中学生になって自転車から始まりバイクや車に夢中になり、モトクロッサーに乗り、さらにラジコンなんぞも始めたので、小遣いや親にねだってコツコツ工具をそろえ始めました。

当時、工具を買うにはホームセンターや金物屋とかしかなく、物もプロ用の値段が張るものばかりでした。今のように安い外国製があるわけでもなく、まあ逆に言えば「選択肢は無けど自動的に値段なりのMade in Japanを買っていた。」と言うことですね。

さすがに技術的な思想や設計、材料の質や製造法は当時のものですので、最新の物や高級品に比べれば性能的に劣ってはいますが、折れた、割れたというようなトラブルはほとんどなかったと記憶しています。

そのおかげか、私のガレージのラックには当時買った工具が、今も現役で並んでます(40年物)。

約40年物のメガネレンチ 上2本がロブスター(ロブテック)、3番目がトップ工業製

古いけどきっちりJISマーク入り

最初から話が大きくそれた...。

ここまでの結論を言うと、現在の工具は①形状の設計、②材料の品質、③加工や熱処理の方法、④使用限界(期間)、どれをとっても昭和の時代のものより格段に進化しています。

自分も機械の設計屋なのでユーザーのあらゆる使い方(イレギュラーを含む)を想定して機械を考えます。ですので、使う人がメーカー(設計)の想定内の使い方をしていれば、めったに壊れるものではないと考えてます。(単純な不良品は別ですが)

メーカー出荷時に良品であれば、壊れるのは①②③のいずれかに問題があるか、④の使用限界を超えた、もしくはメーカー(設計)の想定を超えた無茶な使い方をした(と、それに近いことを繰り返した)時くらいかなと。

で、①②③に問題があるのは、単純に「メーカー(工具)としてダメじゃね?」ってことで、最初に書いた「悪い道具」ってことです。

 

ちなみに「12角のソケットは割れやすい」派の方にその理由を聞くと、たいがい「だって12角の方が薄いじゃん」って答えを貰います。

ですけど実物をよく見てください。通常のひとつのメーカーの同じラインナップであればソケットの外径は変わらないので、12角は6角に比べて厚い部分が少ないだけで、薄い部分は6角も12角も厚みがほぼ変わらないんです。

 

ここまででは6角と12角の違いがはっきり出来ないので角度を変えて、ちょっと工学的な「応力集中」って考え方を使います。

簡単に言うと、力が均一にかかっている場所の断面積が一定じゃない場合、その断面積が小さい所に、掛かった力が全集中する。ってことで、ソケットで言うと6角、12角ともに赤丸の位置で発生します。力が集中するってことは、そこが一番弱い場所になるってことです。割れたソケットをお持ちの方は見てもらえればわかりますが、縦に割れているものは、ほとんどがこの赤丸の位置で割れていると思います。

すなわちソケットが割れるという現象はこの応力集中が主な原因であると言い切って良い(大丈夫か…?)かと。

ちなみにこの性質を応用しているのが、紙を手で破るときのミシン目とか割りばしの切れ込みとかです。(理解してもらえるかな…?)

 

と、ここで「6角より12角の方が応力集中する場所が多い分、割れやすいんじゃね?」と言う方もいらっしゃると思います。

この場合は逆に言うと「12角の方が応力集中する場所が6角の2倍あるので力が分散されるから割れにくい」とも言えてしまいます。

これだとまだどっちが良いのかはっきりしないので「力のモーメント」という考え方を追加します。

簡単にいうと力と距離の関係で、問題:「"てこ”に使う棒、長いのと短いのではどっちが楽?」、答え:「長いてこ棒を使うとより大きな力を出すことが出来るから楽」ということと同じような考え方です。

で、ソケットの場合、2つの赤丸の中間の地点に同じ力が加わった時の距離に注目します。

そうです。図で見て分かる通り6角の方が12角より”てこ”棒が長いんです。

「12角は割れやすい」派の方々、ちょっと焦ってきませんか?

 

もちろん、これだけで「どっちが割れやすいか」についての最終結論を出すことはできません。ただ、盲目的に

「12角は割れやすい」と思っているのはちょっと違くね?

というお話でした。

 

どこかのメーカーとか大学の研究室とか、この手の実験とか研究とかしてないですかね?ご存じの方の情報求む!です。

また、プロの整備士の方とか使用限界まで工具を使われてる方、経験談とか伺えたらうれしいです。

 

「ボルトの頭をなめやすい」への考察は次回。